映画>ギター弾きの恋

『ギター弾きの恋』(ウディ・アレン監督/1999)。見栄っぱりでエゴイストで、性格と生活が極限まで破綻している天才ギタリスト、エメット・レイの物語。彼の唯一の弱点は、同時代の超天才ジャンゴ・ラインハルト。ヨーロッパで2回、ジャンゴに会ったレイは、2回ともその場で失神したといわれている(ことになっている)。
冒頭、エメットがギターを弾くシーンで、正直いってズッコケた。左手の指がベタなのだ。指板に対して立っていないで寝ている。まったくトウシロウの指使いだし、音と指がばらばらだ。『クロスロード』で、主演のラルフ・マッチオの指の部分だけをライ・クーダーと見事に合成するテクを、1986年にはやっているのだから、ギター弾きの客のためにも、そのくらいのことはやってほしかった。
でも、すぐに画面に引きこまれてしまって目を離せなくなったのは、主演のショーン・ペンの力なのだろう。
まあ、とにかくこの男の破滅的な性格はものすごい。まったくどうしようもないロクデナシで、世界中の女の敵であると、三人の娘の父であるワタシは思うわけだけれど、困ったことにこのエメット的な部分は自分にもあるわけだ。おそらく男は誰しもそういうところを持っているのだろう。それはないとはいわせない。