PAサウンドにかなわないこと
今夜、山下洋輔ソロ&モア(宮崎県立芸術劇場演劇ホール)を観に行って、音のいいのに感心してしまった。
昔、オーディオマニアのちょっとした悪口で「ロックやポップスは、いずれにしてもPAの音だから…」というのがあった。ろくでもない機材をろくでもないセッティングをして、音はわんわん回るし、定位なんてものはないし、レンジは狭いし、要するにろくな音じゃないんだから、そんなものを対象に「再生」を論じたところで仕方がない…、というような話なのだが、冗談ではない。残念ながら、うちの金田アンプ+スーパースワンよりも、ずっといい音だった。
ピアノの実在感、サックスの躍動感、パーカッションのきらきら輝く音。まず、上の方のレンジが圧倒的に広く感じた。ハイ上がりなのかもしれないけれど、あれがハイ上がりならハイ上がり上等である。それに、何しろ反応が速い。生音か思うほど、音が自然に立ち上がり、自然に消えていく。
プロジェクターの体験から、人間の五感は視覚に引っ張られるものではあるので、目の前で演奏している姿に、ずいぶん影響されてはいるのだろうけど、目を閉じて聴いていても、ものすごいスイング感だった。音がスイングの邪魔をしない。それ以上に、音に力がある。前から五列目だったから、だいぶ生音も聴いているのだろうけど。
反応の速いスピーカーをシンプルに使う、という方向はこれでいいんだろうとは思う。いわゆる美音もいらない。周波数特性も、まあよほど変でなければがまんする。速い音。とにかく速い音。今夜のPAの音は、どうやったら出るんだろうと考えている。