五月晴れというのは、ちょうど今日のような日。

梅雨のど真ん中で予報では雨だったのが、午後から恵みのようにうまく晴れて、その陽光のまぶしさに、ちょっとそわそわするというような。それも、たぶん釣師の言葉なのではないかと思う。

ただ、もう年々、釣師としては腰が重くなっており、多少のことでは釣りになんか行かない。今日の午後が恵みのような五月晴れであったにしても。

そのサイのように頑なな背中を、もう小学2年生になった末の女の子が押してくれた。釣りに行きたい。連れていけという。ふと釣師のそろばんが動く。今日は小潮で夕方がソコ。陸からのべ竿でアジなんてのも無理ではないにしても、水が満々ときてない夕まずめなんぞは美しくもない。

そうするとボートだが、準備と撤収が何しろ大変だ。しかし、子供もこちらも両方時間があって、しかも中潮~大潮で、しかも気軽に魚が釣れるタイミングなんてのは、そうあることではない。そんなことを言っていては生涯釣りに連れていけないではないか。

そんなわけで、日南海岸富土海水浴場にえっちらおっちら繰り出して、ゴムボートを浮かべてみた。子供第一投、いきなり肘たたき級。第2投、肘たたき級まじりのダブル。おお、こりゃ、やはり恵みの日であった。彼女にとっては初めてのボート釣り。初めてのシロギスだ。

ひさしぶりのゴムボートで、ちと海をなめすぎており、アンカーを用意していなかった。だもので風が吹くとどんどん流される。そのたびに漕がなくてはならなかったが、もう何年も前に、今や高校生になっている長女をここに連れてきた時と同じように、末の子もはしゃぎ、わあわあ言い、それ以上に、こちらがはしゃいでわあわあ言っていた。

2時間の釣りで約20尾。ぜいぜいいいながら撤収して、潮と砂にまみれて家に帰り、塩焼きと昆布〆と天ぷらでご飯を食べた。

小さな釣りだけど、たぶん、あの子は今日のことを忘れない。ぼくはもちろんのこと。