タイガーロケッティのこと
昔むかしの、その昔。
少年たちの宝石ともいわれたタイガーロケッティが、大好きだった。
こいつは、固体燃料を燃やす模型用のロケットエンジンなのだ。バルサでハンドランチグライダーを作ってこれで飛ばすと、えらい勢いですっとんでいって、それから滑空に入る。子供でも扱えるロケットエンジンというのは、それだけで夢のような話だった。
当時、たいてい冬になると飛行機を飛ばしたくなったのだが、今思うと、あれは田んぼが空くからという理由だったのだろうな。そういえば、冬枯れで草が生い茂った休耕地で飛ばしていて、草むらに落ちたロケットエンジンの熱で、そこらをちょびっと焼いてしまったこともあったっけ。いや、ちょびっとではなかったな。風が強い日で…。
吉田拓郎が『夏休み』でその情景を歌ったわが谷山は、あれだけたくさんあった田んぼが、今はただの一面もなくなってしまっているのだが、時を同じくしてタイガーロケッティも消えてしまった。
ロケットエンジン用の機体キットはもちろん、ボートや車まで市販されていた。ロケッティをローターの端に2つつけて飛ばすヘリコプターなどというものすらあったのだが、あれはほんとうに飛んだのだろうか。
何年か前、ほしくてたまらなかったのだが、タイガー製作所はすでに20年ほど前に生産をやめていた。でも今回、そのかわりに、というものを発見した。その名もJet-X 50Z-GBSという。4700円なり。
これだって日本で唯一、ここしか売っていないようだし、うかうかしているとなくなってしまうにちがいないから、買っておいた方がいいのだろうな。いつか見る、夢の預金みたいなものだろうか。