毎年、秋のオフで仲間たちが集まる宮崎県串間市に、鈴木重格さんという人がいる。

現職の市長さんなのだけど、その前に釣り人だ。家は串間市内の福島川の河口にあって、家の表が港、裏が波打ち際というところに住んでいる。その家は室町時代からそこにあり、先祖代々水辺の民だったものだから、生涯を通じて釣り人であることをやめたことがない。

小舟を出して餌木でミズイカを引く。市長になってからは忙しくて釣りに出られなくなったが、近所の漁師さんたちと情報交換だけはする。日曜の午後などは、みなで持ち寄ったイカや魚で釣り談義をしながらビールを飲んでたりもする。ぼくも共通の友人を通して、ご一緒させていただいたことがあった。

串間市の『水辺環境保全都市宣言』も、そんな語らいの中で生まれてきたものだと思う。「守ろう」と呼びかけることに意味があるのかという意地悪をいう人もいるようだけど、あるに決まっている。ニホンは黙殺されてきた水辺だらけじゃないか。

何度か話をするうちに、「釣り人村を作れたらいいがなあ」という話が持ち上がってきた。言い出したのは市の職員の人だったと思う。

・串間の77kmにも及ぶ海岸線を生かした海釣り公園を作りたいが、予算がなくて無理。
・とりあえずあるものを活用する。
・鹿児島からも宮崎からも遠いのだから、一泊してもらえることが前提。
・そうするとロッジやバンガローがあるといい。
・家族みんなで来て、旦那だけではなく女性も子供も楽しめるようにする。
・旦那が釣った魚を家族で食べるというのは、ヒトの始原的なヨロコビではないのか。
・かといって奥さんが料理に追われてはいけない。魚をさばくサービスもほしい。
・いっそ、釣船半日10000円なんてのはできないか。
・商業ベースでは無理だが、NPO的なものならやれるかもしれない。
・ロッジ10000円、釣り船10000円。料理サービスあり。温泉サービス券付き。どうだ。
・キスとアジとチダイとカサゴで1年間、いけそうだ。ハゼもいる。川ならハエもいる。
・夏ならトビウオすくいも。本格的な磯釣りはメジナ、フエダイ、イシダイ、ヒラスズキ。
・都井岬沖でヒラマサもいける。手軽なところではミズイカ。
・湾内に釣り筏は設置できないか。→できんことはない。調整次第。
・キスは絶対はずせない。釣り専用エリアは→むずかしそうだが時間をかければ。
・都井岬や温泉などの既存施設とのタイアップは→もちろん可能。
・既存のホテルなどの宿泊客への釣船サービスなどの提供は→たぶん可能。

なんて話が、どんどん湧いてきた。釣り人村といっても、初期投資はロッジ数棟くらいでむしろソフト事業といえるのだろう。季節とニーズに応じたきめ細かなソフトをどう用意するかなんてのは、行政の苦手な分野だが、もともと彼ら、釣り人なんだからな。