2007年2月11日

落語>ひとまとめに

最近、TVで見た落語の印象を、ざっとおさらい。

『新春落語研究会』 BS-i
「落語研究会」の2006年ベスト10というような趣向で、正月に2日間にわたって放送。

<上席>
「狸の釜」柳家花緑
「親子酒」三遊亭歌武蔵
「幾代餅」古今亭志ん輔
「そば清」春風亭昇太
「甲府い」橘家圓太郎

花緑は、最近マクラがあんまり面白くない。お疲れ気味か。「狸の釜という珍しいお話を」ってことだったけど、昔からある噺で別にそんなに珍しくはない。内容は、平均点か。この人については、若くして真打ちになったものだから、どうしても評価は厳しくなりがちになると、われながら思う。

歌武蔵は最近、こればっかり。いくら十八番でも、そろそろあきてきた。初めて、たまたま鈴本で聞いた時は、へえと思ったけどな。まあ、これから名前が売れてくれば、安心して本領発揮か。

志ん輔。「紺屋高尾」と思ってたら、類似の「幾代餅」だった。演出過剰で、自分で泣きそうになるクサさはあるのだけど、もとが明るいので噺が壊れるようなことはない。日本全国、どこへ行っても拍手をもらえる芸ではあると思う。

昇太の「そば清」は、本放送も録画してあった。何度も何度も見た。この何度も見たい、聞きたいと思わせるのが大事であって、それをボーダーにすると残る噺家はほんとに少ない。その少ない噺家の一人。明るく軽快なマクラの調子のままに突き進む「そば清」。

圓太郎の「甲府い」も録画してあったものを繰り返し見た。リピート回数は昇太には負けるけど、印象の強さは同じくらい。愛嬌があって表現も深い。中でも豆腐屋の旦那の、酸いも甘いもかみわけた台詞、振る舞い。小朝の弟子らしく軽いけど通りいっぺんではないクスグリも気持ちがいい。


<下席>
「臆病源兵衛」桃月庵白酒
「喜撰小僧」柳亭市馬
「お神酒徳利」瀧川鯉昇
「擬宝珠」柳家喬太郎
「三軒長屋」立川談春

白酒のマクラはぐずぐず。もう消してやろうかと思ったあたりで面白くなる。真打ちになりたての若手で、これからどうなるのか、大注目というわけではないにしろ、意識の片隅にくらいはおいておくべき人かもしれない。

市馬。最近、露出が多い。愛嬌があり安定感もあるので、テレビでもラジオでも使いやすいのかもしれない。個人的には好みというほどではないけれど、いつも楽しませてくれそうな期待感はある。

鯉昇。初めてみた。ひさびさに面白い人に出会った感じ。なんというのかな、ちょっと類型が思いつかない。顔の面白さもプラスだけど、めりはりのきいた噺ぶり。はまる人は、きつくはまると思う。

喬太郎。この人についてはいうことなし。空前絶後の噺家になる人。

談春。顔はヤサなのに啖呵は切れる人。この「三軒長屋」では、冗長になりがちな口喧嘩のシーンをどうするかが腕なのだろうけど、そこはさすがに志ん生のようにはいかず。いったらこわい。感心したのは、マクラも余計なくすぐりも省いて、きっちり短い尺に収めてきたこと。この構成力は並ではない。


『上方演芸ホール』 NHK-BS2

「書き割り盗人」桂吉弥
「秘伝書」桂かい枝
「お血脈」林家染二
「職業病」桂小春團治

枝雀の「雨乞い源兵衛」の作者、小佐田定雄が案内人で出てきたので、おっと思ってみたのだが、こりゃひどかった。上方落語の方が、東京落語よりずっと深くて面白いとこないだまで思ってたのだけれど、この番組をようやく見終わった時には、ちょっと暗澹としてしまった。とりあえず個別に。

吉弥、かい枝は平均レベル。とりたてていうほどのこともなし。染二は、いくら地噺でも、その地が客に出せるレベルだとは思わない。大体、言葉が落語になってない。しまいには首の振り方、あごの上げ方、口調すべてが苦痛になってきた。

トリの小春團治でどうにか立て直して終わったけれど、それが新作ではどうも居心地が悪い。このあたりの噺は、プロレスでいえばセミ前くらいでいったん客を軽く沸かせておいて、いよいよメインエベンターにつなぐようなものではないのか。前がそれなりなら、まあいいのだけど、前が前だっただけになあ。特に、やはり染二がつらかった。あれを受け入れるナニワの広さということか。ちょっとぼくには埒外。

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