2006年8月 6日

映画>謎の戦艦陸奥

『太平洋戦争 謎の戦艦陸奥』(小森白監督/1960)。

昭和18年6月8日午後0時過ぎ。大敗したミッドウエイの戦場から離脱する形で瀬戸内海柱島泊地にとどまっていた戦艦陸奥は、三番砲塔付近が突如大爆発。艦を二つ折りにして2分足らずのうちに爆沈してしまった。死者1121名、生存者350名。

大正10年の竣工当時、同型艦の「長門」とともに世界唯一の40センチ砲8門を備えた陸奥は、いわゆる八八艦隊のエースであり、「大和」、「武蔵」の存在が秘密であったこともあって、かつての「三笠」の栄光を引き継ぐ日本海軍の象徴だった。いわば沈めることのできない船だったことから、ミッドウエイ以降、作戦に投入されることはなかったらしい。

その陸奥の泊地での爆沈という大事件は、今になっても真相が明らかになっていない。乗員の自殺説、スパイによる爆破説、主砲に大量の焼夷弾を詰めた三号弾の自然発火説などがいわれたが、少なくとも自然発火ではなく人為的なものであったというのが、当時の調査の結論となっているようだ。

この映画は、スパイ爆破説に沿って構成したフィクション。海上をゆく艦はプラモデルのようにちゃちだし、後半、変てこなメロドラマになって困るのだが、陸奥爆沈という海軍史上最大級のスキャンダルともいえる事実の重さもあって、最後まで観てしまった。

また野暮な突っ込みだが、爆発直前に艦務実習のために乗り込んできた甲種予科練習生たち(137名中124名が死亡)が、『若鷲の歌』を歌うのはやめた方がよかった。

あの歌は、先に書いたように昭和18年9月に封切られた『決戦の大空へ』の挿入歌なので、まだ世に出ていないわけだし、演出としても安っぽすぎて、乗艦直後に死んでしまった若い練習生たちへの敬意の点でもどうなのかと思う。

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