2006年8月 4日

映画>軍艦武蔵

『軍艦武蔵』(手塚正巳監督/1992)。

昭和19年10月にレイテ沖で沈没した連合艦隊旗艦武蔵から生還した元海軍軍人へのインタビューで全編を構成したドキュメント映画。こういう作品は、とにかく事実を遺しておかなくてはならないという、作り手側の強い意志、良心のようなものの上に成り立っているわけだけれど、それがあったというだけでも、いいことだと思う。

以前、吉村昭の『戦艦武蔵』を読んでいたので、あらかたのことは頭に入っていたのだが、実際に武蔵から生き残った人たちの話を聞くと、日本人がひとつの偶像のようにこしらえてしまったあの巨大戦艦の栄光と悲惨が、生々しく迫ってくる。私がキングストン弁を開けた、という人まで登場した。そう、あの艦は敵艦載機に叩き沈められたのではなくて、航行不能に追い込まれて自沈したのだった。

武蔵乗員2399名のうち、沈没時に約1000名が戦死。その後、内地送還の船が魚雷を受けて沈没して半数以上が死亡。コレヒドールに上陸させられた約600名にいたっては死亡率92%と、まるですり鉢でひかれるように死んでいき、結局生きて内地の土を踏めたのは約400名だった。

旗艦乗組という士卒ともにエリート中のエリートたちが、沈没後は秘密保持のためにとてつもない激戦区に追われ、補給もないままに山をさまよううちに友軍の陸軍兵に狙撃され、食われるというエピソードはあまりにも悲惨。

この悲惨を正当化するのは狂気の沙汰だと思う。やっていい戦争などは、この世にありはしない。

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