2006年6月29日

映画>アラキメンタリ

『アラキメンタリ』(トラヴィス・クローゼ監督/2005)。

20歳前後の頃に知った荒木経惟という写真家は、あまりに現代的すぎてぼくにはついていけなかった。ついていこうとしても、そのスピード感に物理的に追いついていけないというようなところがあって、追いつけないものは追いかけても仕方がないから、彼が猛スピードであっちに行ったりこっちに行ったりするのを、ごく時々思い出して、その足跡を、ほんの時々ちらと眺めたり、すれちがうふりをして少し匂いをかいでみたりというような、荒木経惟というのは、ぼくにとってそんな人だった。今でもそんな人だ。

荒木経惟のファンだという人を、ぼくは少し尊敬している。あんなにどこへ行くかわからない人をフォローしていくだけでも、相当にエネルギーがいるにちがいない。何しろ単行本だけで350冊だ。雑誌などのメディアへの露出を考えると、もう日本で起こるすべてのことが、一度この人を通過して視覚化されているんじゃないかという気もしてくる。

もちろん錯覚なのだろうけど、物理的にフォローできないものは、錯覚であるかそうでないかすら意味がない。世の中のすべてを見ることができないのと同じくらいに。こういう場合、結果としての膨大な写真はとりあえず感じるままに感じておいて、その底流にあるひとつか二つかの本質とか真実のようなものを知ればそれで十分、というような逃げ方を、ぼくを含めてほとんどの人がやるわけだけど、この人にかぎっていえば、そんなに簡単ではなさそうだ。何しろ、この人には過去というものがない。人は一度過ぎ去ったものしか、その手につかまえることはできないのだから。

とにもかくにも65歳になった荒木経惟が、今でも圧倒的に元気で、圧倒的な寂しさをふりまきつつ、圧倒的にどこやらへ向かって走り抜けていく、その時代の片隅に、今ぼくが生きているということが、ぼくにとってのかろうじての意味らしきものだろう。徹頭徹尾、個の視線で生きている人を評することや、にこにこ笑顔を作りながら握手しに近寄ったりするということのむなしさを思う。ぼくは荒木にはなれない。なれそうにないものに憧れをもつことは、ほんとにあるのだろうか。

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コメント

ひろすけさんとこの神楽坂、知ってましたよ。
ここも、ここも知ってるって感じです。
メインの通りから、ちょっと横に入るともう異次元ですよね。

どっちかっていうと僕の場合、神楽坂で神田川してました。
風呂無し5年で、風呂屋廃業に伴い風呂あり5年の10年間
神楽坂っ子です。
神楽坂ハン子っていう人居ましたね。

ひろすけさん>

「写真時代」、当時はエロ本扱いでしたけど、荒木経惟、森山大道、赤瀬川原平が「同時に」破裂して、それはそれは面白い本でした。そういう時代だったともいえますが。

ぼくはこの似非写真雑誌というか、似非エロ本で出会った荒木らが強烈すぎて、つまり芸術の中に閉塞しつつあった写真というものを、表に引っ張り出し、街に連れ出し、ホテルに連れ込んだりしながら息を吹き返させた力、現場力というものにひっくり返ったわけです。

考えてみれば「FOCUS」も、創刊の頃はそんなパワーがあったような。

アラーキーの写真、はっきり言ってよくわかんないです^^;どうも凡人には理解しがたいところばかりで、敬遠してます。ただ一冊、まだ学生時代に下町の子供たちを撮った「さっちん」という写真集だけは実に明解で、純粋に感動しました。子供たちの声や匂いが伝わってくるような写真集です。

しんさん>
神楽坂のスナップ載せました(もう半年前だけど(^_^;)
http://homepage3.nifty.com/hirosuketei/
いい町ですね。歩いて楽しい町。

しんさん>

そうか、ガロですね。ぼくは「写真時代」の創刊でようやく写真に目覚めたので、その頃の印象が強いようです。

「荒木ケイキョーっているよね」
「いるね」
「すごいね。エッチだけど」
「そうだね。すごいね」

と、ぼくらの間での荒木経惟というのはそんな風で、一種アンタッチャブルというか、すごくて無視できないのは確かだけど、守備範囲に入ってこない感でした。

神楽坂の出会いか。ぼくはまだ鹿児島でうろうろしてたのかな。

>その時代の片隅に、今ぼくが生きているということが、ぼくにとってのかろうじての意味らしきものだろう。

勝ったな(^^;)。あの人は神楽坂に住んでいて、僕も神楽坂に住んでいて、何度もすれ違いました。

だからどうした   >外野席

たぶんJUNさん16~7歳で見てると思いますよ。ガロに連載持ってましたから。何ていうタイトルだったかな? 極私的エロスとか、そんな感じだったように思います。

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