映画>十三人の刺客
『十三人の刺客』(工藤栄一監督・東映1963)。
いやー、面白い映画だった。
こりゃ、どうかすると『七人の侍』の次にくるくらいの時代劇なんじゃないか。多少甘い台詞とキャラの立て方をいじれば、上にきてもおかしくないけれど、こちらは徹底的に娯楽作なのだから、これはこれでいいのかもしれない。
文藝春秋の『洋・邦名画ベスト150/中・上級者編(1992)』で、邦画部門第一位になっている。この本の前に出版された 「大アンケートによる日本映画ベスト150」および「大アンケートによる洋画ベスト150」でもれた作品から選ぶという趣向だから、そこで1位ということは、いわば「とっておき映画ベスト1」であるわけだ。
粗暴・酷薄・好色にして人品卑しき明石藩主の松平左兵衛督斉韶は、将軍の弟で次期老中が決まっている人物。おとなしくしていればよかったのだが、尾張藩で働いた狼藉が、表向きおとがめなしに決まったものの、このような人物を老中にしては大変との幕閣(丹波哲郎)の密命で、参勤交代の途上、彼を暗殺することになる。
向かうは御目付役島田新左衛門(片岡千恵蔵)ほか十三名、守るは鬼頭半兵衛(内田良平)率いる明石藩士五十三名。この66名による集団抗争時代劇。片岡の存在感と色気もよい。
この戦い、いかにバカ殿とはいえ、その命を守り、藩を守らなくてはならないわけで、義としてはやはり明石藩士の方に多くあると思われるが、彼らは敵役として描かれる。世の中、こういうことは多い。上にいただく人物が無能だと大変なのだ。
映画としては、冒頭からぐいぐい引っ張り込む力があり、画面そのものの力も凄い。掛け値なしで傑作と呼べる作品だろうと思う。

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