ホーンブロワー(1)-決闘-
フォレスターの『ホーンブロワーシリーズ』は、これこそ読まずに死ねるかといった海洋冒険小説の傑作。8枚組のDVDボックス、前から観たかったのだが、そこらのレンタル屋さんにはないので、わざわざぽすれんに入会したのだった。便利ですな、これ。
ほかにカテゴリーを作ってないので「映画」に入れておくけど、BBCのテレビドラマシリーズで、1話100分が8本あり、全部で800分。この尺の長さは、映画ではどうにもならないテレビの利点だろう。テレビだからいい加減かというと、けっこう「映画」といえるほどのクオリティがあった。
細かなディテールも、予算的な制約は感じるにしても(あの狭い軍艦に800人がどう働いていたのか、など知りたいのだが、数十人しか出てこない)、少なくとも大河ドラマの比ではない。映像の出来だけみても、桁が二つくらいちがう。BBCとしても適当には作れない素材だったのだろう。
17世紀末の英国海軍が舞台。第一話は、17歳のホーンブロワーが士官候補生として初めて着任するところから始まる。偏執的な先輩との決闘は、かなり重要な部分が原作とちがっているのだけど、まあ、いいか。いや、よくないよなあ。あそこはいじるべきじゃなかったように思う。
要するに、原題の the even chance にあるように、射撃がうまい相手との決闘を、弾を込めた銃と込めない銃の二つを用意して、それぞれどちらかを選ぶことで、不利な条件を五分五分にもってきてしまうホーンブロワーの知恵の深さを、物語の冒頭に提示するところに意味があるわけで、ここを変えてしまっては、やはりいかんと思う。
ところで、ホレイショ・ホーンブロワーという名前は、英国ではもっとも著名な人名で、もはや英国人のアイデンティティの一部にもなっているのだそうだ。もちろんフォレスターの創作であるわけで、歴史上の人物ではない。日本でいえば誰なのだろうな。
『指輪物語』で、物語の冒頭にホビット庄の一族として角笛(ホーンブロワー)家というのが出てくるけど、これもたぶんトールキンの茶目っ気。

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