映画>イントレランス
『イントレランス』(D.W.グリフィス監督/1916)。
最新鋭無人ステルス機の後は、90年前のサイレント映画だ。観始めて数分間は、さすがにこの振幅の大きさに、脳がメマイする思いだったが、すぐ慣れた。
2時間42分の大作。全編を通してイントレランス(不寛容)が、いかに人間を不幸にするかというお話で、時代ごとに4つのエピソードに分かれている。
といっても、オムニバスではない。現代(1910年代)、16世紀末のパリ、イエスがいた頃のエルサレム、古代バビロニアと、4つの時代の話が、シリーズではなくてパラレルに展開する。映画の幼年期である1910年代にこれを思いつき、完璧にこなすグリフィスというのは、創造の巨人といえる。実際、「映画の父」といわれる人らしい。この人がこしらえた映像表現が、後の映画の下地になっているのだろう。
それに、無茶苦茶にお金がかかった映画でもある。壮麗な彫刻を施したバビロニアの城門のセットは高さ90mもあって、その上を馬車が走れる。ただ超大作というだけではたりなくて、この映画は、人類の偉大な挑戦のひとつにカウントしていいと思う。これと前作の『国民の創生』を合わせれば、人類史にとって月に行くことの半分くらいの価値はあったのではないか。
台詞も特撮もなしで、ようやく写真が動き始めたこの時代に、こんな作品ができるのだから、映画というのは幼年期から並のエネルギーではなかったのだ。

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