2006年1月24日

映画>タカダワタル的

『タカダワタル的』(タナダユキ監督/2003)。知ったかぶりをしても仕方ないので、ありのままに書くけれど、ぼくは高田渡という人をまったく知らなかった。歌としては「生活の柄」と「値上げ」だけ。それも友達が歌っているのを、なんとなく聴いていただけだから、知っているといってまちがいではないにしても、そんなもんなのだ。

高田渡のライブや日常を追ったドキュメント映画。まあ、映画といっても、特に流れや物語を作ろうという意図はなさそうにみえる。一見すると。

でも、ぼくは気づいたね。この映画のクライマックスは、「ブラザー軒」なのだ。企画の柄本明は(またこいつだ)、この曲が最高に素敵なのだと思っているにちがいない。なぜなら、初めて聴いたぼくでも、この歌には大泣きした。高田渡は、この一曲だけですべての日本人に評価されてもいい。こんな詩人だったとは知らなかった。

冒頭の「仕事さがし」という曲、たぶん戦前のカントリーブルース「パレット・オン・ユア・フロア」。見たようなやつがギター弾いてるなと思ったら、中川イサト大先生だ。後半、妙なやつがサックス吹いてるなと思ったら、坂田明大先生だ。ほかにもシバがハープ吹いてたり、坂田省悟がマンドリン弾いてたりした。

それから、高田渡のギターの音。ここ数年で、あんなにいい音を聴いたことがない。スリーフィンガーもジャパニーズフォークのそれではなくて、カントリーフォークの、それもブルースがベースのスリーフィンガーだった。あれを今の時代に、当たり前のようにやっている人がいるとは思わなかった。

生きている間にも接点はなかった人だから、死んでしまっても特に感慨もないのだけれど、京都や下北沢の住人は、あれを生で観れたのだから幸せだとは思う。

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