1999年3月29日

スピーカーを作る日曜日

知り合いの家に同志が数人集まって、朝からわいわいいいながらスピーカーを作った。やっていると、噂を聞きつけてやってきたこの道数十年の自作マニアのおじいちゃんとか、様子を見に団子を山盛り持ってきた友人とか、なぜかテレビ局の撮影クルーとか、いろんな人が入れ替わり立ち替わり訪ねてくる。
スピーカー作りって、そんなに珍しいものだったかしら。

作ったのは、いずれも長岡鉄男設計の【フラミンゴ】と【D37】というバックロードホーン。【フラミンゴ】は知る人ぞ知るFE83(フォステクス)という8センチフルレンジの銘器を使う。銘器とはいえ1本3000円もしない廉価版ユニットなのだけれど人の声などの中域は秀逸なのだ。これを活かしながら足りない低域をホーンで補ってやろうという設計。

【D37】に使うFE168SS(フォステクス)は、16センチフルレンジとしては世界最強にしておそらく史上最強ではないかというようなごついユニットで、巨大なマグネットのおかげで総重量が4キロもある。これだけ強力だと途方もない反応の速さとダイナミックレンジが期待できる一方で、普通の箱に入れたのでは低音がまったく出ない。バックロードホーン専用のユニットなのである。

一日、トンテンカンとカナヅチを振るい、手を木工ボンドだらけにして、夕方【フラミンゴ】が組み上がった。仕上げ、塗装は来週にまわすとして、さっそく結線して音出しをする。手にはロックグラスにあふれるほどのウイスキー。これで20作目くらいにはなるのだろうと思うけれど、いくつ作っても最初の音出しの時は心はずむ。今回は制作の手伝いで、オーナーは別にいるのだけれど、この娘(女の子なのだ)などは、目を輝かせてきゃあきゃあいっている。

最初はがさがさしていた音が10分刻みにどんどんよくなる。
透明感が出てきて、高音も低音も伸び始め、声はひっこんでいたのが次第に前に出てくる。あと10日もして、箱のボンドが乾き、無理に押さえ込んだ木がなじめば、さらによくなってくるはずだ。

どんどんよくなっていく音に、全員耳を澄ませ、時おり、歓声やため息が出る。こちらは音よりも、みんなの顔を見ているのが楽しい。なにせメニエールをやって以来、私の耳はオーディオ的にはあまり優秀ではない。一時はけっこうしょげていたけれど、こんな「オーディオ」の楽しみ方もあったということを見つけることができてよかった。

ウイスキーは半分、空になった。
【フラミンゴ】は調子よく歌っている。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.fishing-forum.org/mt4/mt-tb.cgi/862

コメントする